長引く咳・呼吸器内科

咳は呼吸を行うための気道を保護するのに大切な反応のひとつです。
咳はさまざまな刺激が気管、喉頭に作用して反射として出てきます。
長引くときは肺や気管支、喉頭に病気が起こっていると考える必要があります。

最近、風邪症状の後、ヒューヒュー、ゼーゼーといった喘鳴や呼吸困難がなく咳だけが何週間も続くと言って来院される患者さんが増えて来ていると感じられます。
そのような患者さんのなかに咳喘息を疑う患者さんが大勢いらっしゃいます。

咳喘息とは

  • ほかの原因となる病気がないのに数ヶ月から数年咳が続く。
  • かぜの後に起こることが多い。
  • ヒューヒュー、ゼーゼーといった呼吸困難がない。
  • 痰はほとんど出ない
  • 睡眠中に咳で目がさめるとか、朝方咳が出てくるしなる。
  • 運動、電話、会話、喫煙や冷たい空気を吸うといった体温変化があると咳が増悪する

などが特徴です。

また女性に多いとされています。

気管支喘息との違い

気管支喘息に特徴的なヒューヒュー、ゼーゼーといった音が聞かれないとされていますが時に聞かれるときもあります。
また気管支喘息に10%~40%移行すると言われています。
咳喘息の人は健康人と気管支喘息の人の中間に位置しています。

アトピー咳嗽との違い

咳喘息は睡眠中に咳で目がさめるとか、朝方咳が出てくるしなるが、アトピー咳嗽は昼間の温度変化で咳が誘発されることが多いです。
また、咳喘息には気管支拡張剤がアトピー咳嗽には抗ヒスタミン剤が有効であることが多いです。

診断、検査

咳喘息は特徴的な所見がなく慢性的に咳がある時は疑う必要があると思われます。
場合によっては治療により診断をつける時もあります。
つまり咳だけが数週間続いた時、気管支拡張剤、吸入ステロイド剤を使用した結果症状が改善されれば咳喘息ということになります。
検査所見で痰、血液に好酸球の増加、IgE値の上昇が認められることがあり、喘息と同様に型アレルギー性炎症が起こっていると考えられています。
そのため各種アレルギー検査などによる原因抗原の検索も必要です。
日本呼吸器学会では「咳嗽の関するガイドライン」を発表しました。
咳喘息の診断基準を下に記載します。

咳喘息の診断基準(1~7のすべてをみたす)

1喘鳴や呼吸困難を伴わない咳嗽が8週間以上持続する。
聴診上もwheezeを認めない。(wheeze:喘鳴音)
2喘鳴、呼吸困難などの喘息の既往をみとめない。
38週間以内に上気道炎に罹患していない。
4気管過敏性の亢進。
5気管支拡張剤が有効。
6咳感受性は亢進している。
7胸部レントゲン写真で異常を認めない。

治療方法

一般の風邪薬や咳止めでは効果がありません。
基本的には喘息と同じで気管支拡張剤、吸入ステロイド剤です。
気管支拡張剤を単独で使用するより吸入ステロイド剤を併用したほうが気管支喘息に移行する頻度が低いとも言われています。
症状がひどい時は必要に応じて経口ステロイド剤を短期間使用します。

日常生活での対応

初期には風邪、運動、喫煙などが増悪因子となりえます。可能な限り回避してください。
またアレルギー性気道炎症があり原因がはっきりしているなら原因の除去などを行うよう心がけてください。